おねだりする愛犬に、おつまみなどのナッツ類を与えるのは要注意です。ナッツの中には、種類によって危険な物質を含んでいるものがあります。
今回は、ナッツの種類別に犬の身体への影響と食べたときの症状を解説します。また、ナッツ類のほかにも危険な食べ物もご紹介しましょう。
ナッツの犬への影響・危険性を解説
おつまみとしてよく食べられるナッツ類。愛犬が欲しそうにしていたら、与えても大丈夫なのか悩みますよね。不飽和脂肪酸やミネラル、ビタミンEなどを含むナッツは、人間にとって体にいいものと言われていますが、犬にとっては必ずしも大丈夫な食材ではありません。今回は、ナッツの犬への影響と危険性を徹底解説します。
「犬にナッツは大丈夫」は嘘!
ナッツ類とは、「硬い殻で覆われた木の実」のことを言い、くるみ、カシューナッツ、アーモンド、マカダミアナッツ、ピーカンナッツなどがあります。ピーナッツは木の実ではなく豆類ですが、硬い殻で覆われているので、ナッツ類として扱われることが多いです。これらのナッツ類の中には、犬に絶対与えてはいけないものも多くあります。
犬が欲しがるからと言って、安易にナッツ類を与えると、アレルギー反応や中毒症状を引き起こすことがあるので注意が必要です。飼い主さんは、愛犬の健康維持のために、犬に与えたら危険なナッツの種類を知っておきましょう。
犬がナッツを食べたときの症状も紹介
ナッツの種類は豊富で、犬に与えたら危険なものと少量なら大丈夫でも注意が必要なものがあります。ナッツの種類により、含まれる成分も異なるので、危険度とアレルギー反応や中毒症状も異なります。今回は、ナッツの種類別に含まれる危険な成分と犬がナッツ類を食べたときの症状もご紹介しましょう。
犬に危険なナッツの種類と症状
ナッツ類は、一般的に脂肪分が多く消化されにくい食べ物です。犬がナッツ類を食べると、消化不良、中毒症状、アレルギー反応を引き起こすことがあります。主な症状として、嘔吐、下痢、発熱、痙攣などが食べてから12時間以内に現れます。ここでは、犬にとって危険なナッツの種類と主な症状について見ていきましょう。
マカダミアナッツ
マカダミアナッツは中毒を引き起こす危険があるので、絶対に与えてはいけません。マカダミアナッツ中毒に陥ると、ほとんどの犬が食べてから12時間以内に症状が現れます。主な症状として、嘔吐、運動失調、虚脱、後ろ足の麻痺、震え、発熱などが見られます。
マカダミアナッツ中毒を起こす原因の成分については、まだわかっていません。マカダミアナッツの単体だけでなく、抽出成分を含むマカダミアナッツオイルやマカダミアナッツチョコレートにも十分に注意して下さい。
ピーカンナッツ
ピーカンナッツには、ジュグロンという毒素成分が含まれ、犬が食べると胃腸障害や閉塞を引き起こす危険性があるので、絶対に与えてはいけないものです。ピーカンナッツは、ナッツ類の中でも脂肪分が非常に多いため、カロリーが高く消化にもよくありません。
ピーカンナッツの主な中毒症状として、食欲減少、嘔吐、血尿、血便などが見られます。痙攣などの重篤な症状を引き起こすこともあります。ピーカンナッツ入りのクッキーやケーキなどもあるので十分に注意しましょう。
ピーナッツ
ピーナッツは、少量であれば犬に与えても大丈夫ですが、積極的に与えるようおすすめできる食材ではありません。犬にピーナッツを与えるときには、ふやかして柔らかくしたり、刻んだりしてから与える必要があります。大量に与えると、消化不良、下痢、嘔吐などの症状が出る可能性があります。
中にはピーナッツに対してアレルギーを持っている犬もいます。アレルギーがある場合は、少量のピーナッツでも絶対に食べさせてはいけません。アレルギーの主な症状としては、嘔吐、下痢、皮膚の赤みや発心、痒みが見られます。初めてピーナッツを食べさせるときは、必ず少しずつ与えるようにして下さい。異常が認められた場合は、すぐに中断して動物病院へ連絡しましょう。
アーモンド
アーモンドは、スイートアーモンドとビターアーモンドに分けられます。スイートアーモンドは、犬に与えても大丈夫な食材ですが、与え方や量に注意が必要です。必ず与えなければならない食材ではないので、積極的に与える必要はありません。人間用に味をつけたスイートアーモンドや生のアーモンドなどは、胃腸に負担をかけ、消化不良を起こす可能性があります。
スイートアーモンドを使ったミルクやアーモンドパウダーなどは与えてもいいでしょう。注意しなければならないのは、ビターアーモンドです。ビターアーモンドには、アミグダリンという青酸化合物が含まれていて、少量でも犬には有毒です。呼吸困難や痙攣などの症状を起こし、命の危険にもかかわることがあります。ビターアーモンドは、杏仁豆腐やスイーツなどにも使用されるので、十分に注意しましょう。
くるみ
くるみは、少量であれば犬に与えても大丈夫な食材です。くるみには、オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸などが含まれ、栄養価が高いため、毛並みや毛艶を良くすることに役立つと言われています。しかし、くるみは脂質が多くてカロリーが高いため、摂取量に気をつける必要があります。
くるみは、1粒で薬50キロカロリーもあるので、数粒食べるだけで1日の摂取カロリーを超える可能性があります。また、くるみは消化しにくいので、食べ過ぎると胃や腸に負担がかかるのも心配です。くるみを与える場合は、1日1粒を目安に、できるだけ細かく砕いたものをあげるといいでしょう。
カシューナッツ
カシューナッツは、犬への中毒物質が含まれていないので、少量なら食べても大丈夫です。しかし、生のカシューナッツには、カルドールと呼ばれる刺激物質が含まれているので与えてはいけません。アレルギー反応を起こす可能性は低いと言われていますが、初めて与えるときには、少しずつ食べさせましょう。
カシューナッツは、高脂肪、高タンパクなので、大量に摂取すると膵炎を起こす危険があります。また、消化しにくいため胃腸に負担がかかり、下痢を起こす可能性もあります。これらのことを考慮すると、カシューナッツは、犬に積極的に与えないほうがいいでしょう。
犬がナッツを食べたときの対処法
ナッツ類は、オメガ3脂肪酸などのよい脂質を含み、高タンパクなので、栄養価が高い食材ではありますが、それ以上に中毒やアレルギーなどの危険性が大きいので、与えるのを避けるべき食べ物です。ここでは、万が一犬がナッツを食べたときの対処法について見ていきましょう。
少量でも病院に電話しよう
もし、犬が少量でもナッツ類を食べてしまったときは、動物病院へ連絡することをおすすめします。特にマカダミアナッツを食べた場合は、すぐに動物病院で診てもらう必要があります。他のナッツ類でも大量に食べてしまうと、腸閉塞やアレルギー反応を起こす危険性があるので注意しましょう。
「何をいつどれだけ食べたか」を伝えよう
犬がナッツを食べたことを動物病院へ連絡するときには、何をいつどれくらい食べたかを詳細に伝えましょう。危険度や致死量は、犬の体重や年齢によって異なるため、正確な情報を獣医師に伝える必要があります。具体的な治療方法は、犬の状態や病院の判断によります。動物病院へ行くときには、食べたナッツの実物とパッケージも一緒に持って行くと、獣医師も判断がしやすいでしょう。
ナッツ同様に危険な食べ物
犬が中毒症状やアレルギー反応を起こしたりする食べ物は、ナッツ類のほかにもたくさんあります。犬にとって危険な食べ物を飼い主さんがよく知っておくことは、犬の健康維持にとても重要です。ここでは、犬が食べてはいけない危険な食べ物についてご紹介しましょう。
チョコレート
チョコレートの原料であるカカオには、テオブロミンという有毒物質が含まれます。テオブロミンは、人間であれば肝臓で代謝されてメチル尿酸という物質に変わりますが、犬はその代謝にかなり時間がかかります。そのため、血清中にテオブロミンが蓄積し、体内の毒性量が上がってしまうのです。
チョコレートを犬が食べると、軽い症状では嘔吐や下痢、重い症状では痙攣や内臓出血、心臓発作などをおこす危険性があります。犬にチョコレートを与えたり、犬が不用意に食べたりしないように十分に注意しましょう。
キシリトール
人間がキシリトールを食べても問題がありませんが、犬が食べると膵臓から過剰なインシュリンが分泌されて低血糖になり、最悪の場合は命を落とす危険性があります。低血糖に陥ると、脱力、昏睡、痙攣などの症状が見られ、中には、急性肝不全を起こす犬もいるようです。少量でも症状が出ると言われるので誤って与えることがないように注意しましょう。
アボカド
アボカドには、ペルシンという殺菌作用のある毒素が含まれています。ペルシンは、人間が摂取しても問題のない物質ですが、犬が摂取すると中毒症状やアレルギー反応を引き起こすので注意しましょう。アボカドによる中毒症状には、下痢、嘔吐、呼吸困難、痙攣などが見られます。食べてから2~3日後に症状が出始めることもあるようです。
アレルギー反応の症状としては、皮膚の痒みや赤み、脱毛、下痢、嘔吐などが見られます。犬がどの食材にアレルギー反応を示すのか、動物病院で検査して調べることもできるので、かかりつけの獣医師に相談するのもいいでしょう。
犬にナッツと似た「豆類」を与える影響
犬にとって危険が多いナッツ類は、できれば避けたい食材です。では、ナッツ類とよく似た豆類は与えても大丈夫なのか気になりますよね。ここでは、ナッツ類と豆類の違いと犬が豆類を食べたときの身体への影響について見ていきましょう。
ナッツと豆の違い
「硬い殻で覆われた木の実」をナッツ類、「マメ科の植物でその種子や果実」を豆類と呼ぶのが一般的です。ナッツ類は、不飽和脂肪酸やミネラル、食物繊維が豊富で、つまみや洋菓子、ミルク、油などに加工して利用されています。ナッツ類には、先にご紹介した通り、くるみ、カシューナッツ、アーモンド、マカダミアナッツ、ピーカンナッツなどがあります。
一方、豆類には、大豆や小豆、枝豆、そら豆、エンドウなどがあり、ピーナッツは落花生のことなので、厳密には豆類になります。豆類は、タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含み、煮炊きしたり、豆腐や納豆、醤油などに加工したりして食べられています。
生の豆はNG
豆類はタンパク質が豊富なので、与えても問題ないと思われがちですが、生の豆はNGです。生の豆を犬が食べると、消化不良、嘔吐、下痢、呼吸困難などの危険な症状を引き起こす可能性があります。犬に豆を与えるときは、加熱したものを与えるのをおすすめします。豆を煮たり蒸したりして柔らかくし、細かく刻んだものを与えるといいでしょう。
加工した豆はOK
納豆、豆腐、おからなどの加工品は、犬に与えても大丈夫ですが、基本は豆も十分注意が必要です。稀に大豆アレルギーを持っている犬がいるので、与えるときには少しずつ与えるようにしましょう。下痢や嘔吐、発心、痒みの症状が見られたら、大豆アレルギーが疑われます。
犬にナッツを与えないように注意しよう
今回は、犬がナッツを食べたときの身体への影響と危険性を解説しました。ナッツには、種類によって犬の命にもかかわる物質を含むものがあるので、安易に与えないことが大切です。飼い主さんは、犬にとって危険な食べ物を把握し、愛犬の健康管理に努めましょう。