人間にとって問題がない食べ物でも、犬には有害なものもあります。
今回は、犬を飼うなら知っておくべき食べてもいいものと絶対に与えてはいけないものについて徹底解説します。
また、犬の味覚や嗅覚に関する豆知識も一緒にご紹介しましょう。
犬の食べ物について徹底解説!
飼い主さんが食べている時に、愛犬がその食べ物を欲しがることがあります。ついあげたくなってしまいますが、人間が食べてもいい食べ物が必ずしも犬にも大丈夫な食べ物とは言えません。中には、中毒症状やアレルギー反応、貧血を引き起こす食べ物もあります。
今回は、犬に与えもいい食べ物を、野菜・果物、肉・魚、穀物、乳製品・海藻などの分類別に徹底解説します。また、絶対に与えはいけない食べ物も整理して、犬を飼う時に知っておくべき食べ物に関する基礎知識をご紹介します。
犬の食性についての歴史
犬は、野生だった頃は肉食の動物でしたが、人間と生活を共にするようになり、雑食動物になっていきました。犬は人との生活の中で、脂質とタンパク質は肉から、便秘解消などの体調管理のために野菜などの食べ物を食べるようになりました。
現在は、栄養バランスの取れたドッグフードを食べていれば、基本的な健康を維持出来ますが、野菜や果物などの食べ物を与えることによって、便秘や貧血などの症状を和らげることに期待が出来ます。おやつやトッピングとして補いバランスの取れた食べ物を与えましょう。
食べ物アレルギーに気を付ける
人間は人によって食べ物にアレルギーがあるように、犬にも個体によってアレルギー反応を起こす食べ物があります。犬に初めて与える食べ物は、少量から与えて異常がないことを確認してから食べさせることが大切です。アレルギーの症状としては、嘔吐、下痢、痒み、目の充血などがあります。これらの症状が見られた場合は、動物病院へ行き診察を受けるのをおすすめします。
便秘解消を期待できる食べ物もある
総合栄養食のドッグフードで便秘や貧血の症状が解消できない場合は、野菜や果物、乳製品などの食べ物をトッピングとして与えることで、便秘や貧血の症状を和らげるのに期待が出来ます。今回は、便秘や貧血の改善に期待が出来る食べ物も一緒に見ていきましょう。
犬に与えられる食べ物①野菜・果物
犬は肉食に近い雑食動物ですが、食物繊維の多い野菜や果物などの食べ物を食生活食生に取り入れることで、便秘解消に繋がることがあります。また、ビタミンCは、鉄の吸収を促進し貧血予防にもなります。一方で、犬の体内構造は、野菜や果物の消化を得意としないため、大量に与えると胃腸に負担をかけるので注意しましょう。ここでは、犬に与えられる食べ物【野菜・果物】編をご紹介します。
にんじん
にんじんには、皮膚や粘膜の健康維持に期待出来るβカロテンや便秘を解消する食物繊維が多く含まれ、与え方に注意すれば犬が食べてもいいものです。にんじんに含まれるβカロテンは、体内で脂溶性のビタミンAに変換されます。ビタミンAは過剰に摂取すると中毒症状になるので一日の与える量は、1日10~20g程度を目安にしましょう。
かぼちゃやヨモギ、シラカバにアレルギーがある犬は、にんじんにもアレルギー反応が出る可能性があるので注意が必要です。にんじんを与える時には、火を通して柔らかくしてから食べやすい大きさに調理しましょう。おやつやドライフードのトッピングとして取り入れるのもおすすめです。
大根
大根は、基本的に犬が食べてもいいものですが、甲状腺に問題のある犬は注意しましょう。アブラナ科の大根に含まれるゴイトロゲンという成分は、ヨウ素の吸収を阻害し、甲状腺ホルモンの分泌に影響すると言われます。大根は食物繊維が豊富なので、便秘解消に期待が出来ます。生でも食べられますが、消化不良を起こさないように、大根おろしにして与えましょう。
大根を与える量は、一日10~30g程度が目安です。大根でアレルギーを起こす犬は少ないですが、下痢をしたり吐いたり、目の充血や体のかゆみ、毛が抜けるという症状がある場合は、アレルギーが考えられます。初めて食べさせる時には少しずつ与えましょう。
かぼちゃ
かぼちゃはビタミン、カリウム、鉄分などの栄養素を豊富に含み、風邪や動脈硬化の予防、老化防止の効果が期待出来る食べ物です。かぼちゃは、カロリーが高いので適量を与えることが大切です。食べさせる時は、塩分を加えず食べやすい大きさに切って茹でて与えましょう。
じゃがいもやさつまいもなどの芋類アレルギー、にんじんアレルギーがある犬は注意が必要です。初めてあげる時には一口食べさせて様子を見てから、適量を与えましょう。1日に与える目安は10~30g程度です。
トマト
トマトは、トマトアレルギーがない犬なら食べてもいいものですが、トマトの皮が消化しにくいので、積極的にあげる食べ物とは言えないでしょう。トマトを与える時には、赤く熟したものを選びましょう。青いトマトや葉、茎にはトマチンと呼ばれる有害な成分が含まれています。
トマトを与える時には皮をむき、1日10~20g程度を目安にすると良いでしょう。トマトジュースやトマト缶は、無塩・無添加のものがおすすめです。ブタクサやスギ、シラカバなどにアトピーを持つ犬は、交差性アレルギー反応が出る可能性があるので、トマトの摂取は控えましょう。
ブロッコリー
ブロッコリーもアレルギーがない犬なら食べてもいいものです。ブロッコリーには、皮膚や粘膜の健康維持に役に立つβカロテンや血流を整えるビタミンK、胃の調子とストレスケアをするスルフォラファンが含まれています。食物繊維が豊富なので、便秘解消にも期待が出来ます。また、造血効果のあるビタミンCが豊富なので、肉類と合わせて取ることで貧血予防にもなります。
一方で、尿路結石の原因になるシュウ酸を含むので、生ではなく茹でて与えるようにしましょう。アブラナ科のブロッコリーは、甲状腺ホルモンの合成を抑制するゴイトリンの元であるグルコシノレートも含むので、甲状腺ホルモンの分泌が少ない犬は少量に留めておきましょう。ブロッコリーを犬に与えてもいい適量は、1日10~20g程度が目安です。
バナナ
バナナは、一般的に犬が食べてもいいものですが、アレルギーがないか気を付けましょう。下痢、嘔吐、痒みを伴う症状が出るアレルギー反応を起こす犬もいます。初めて食べさせる時には、少しずつ様子を見て与えましょう。バナナの皮は消化しにくく、のどや腸などに詰まる可能性があります。必ず皮をむいて誤飲しないように注意が必要です。
バナナには、ビタミンC、カリウムなどが含まれ抗酸化作用や利尿作用などが期待出来ます。生でも加熱しても食べられますが、カロリーが高いので与える量を控えめにし、1日の摂取量は20g程度に抑えましょう。
みかん
みかんの果実部分は、犬が中毒症状を起こす成分は含まれないので、基本的に食べてもいいものです。みかんは、ビタミンCを豊富に含んでいます。犬は人間と違ってビタミンCを体内で生成出来ますが、不足しがちな夏場や高齢犬に補給を目的に与えても良いでしょう。食物繊維を多く含むので便秘解消に期待が出来ますが、取り過ぎると下痢になりやすいので注意しましょう。
また、外皮や種には中毒性のある物質が含まれていので、必ず皮をむいて種を取って与える必要があります。みかんを犬に与える量は、1日当たり小型犬で1~3房、大型犬で5房までを目安にすると良いでしょう。
さくらんぼ
さくらんぼは、果肉の部分なら食べてもいいものです。さくらんぼには、抗酸化作用のあるビタミンA、疲労回復に期待が出来るブドウ糖やクエン酸等を含んでいます。注意が必要なのが、種を与えないようにすることです。さくらんぼの種には、有毒とされる青酸性物質が含まれています。
さくらんぼを食べさせる時には、生でも加熱しても構いませんが、口の中で種をかみ砕くと危険なので必ず取り除いてから与えましょう。さくらんぼを犬に与える量は、1日当たり体重5㎏で11g、10㎏で18gを目安にすると良いでしょう。
メロン
メロンも犬が中毒症状を起こす物質を含んでいないので食べてもいいものです。メロンには、ビタミンAやビタミンCが含まれ老化予防に期待が出来ます。また、ビタミンに次いで多いカリウムは、体内の余分な塩分を尿と共に体外へ排出してくれます。メロンに含まれるククミシンにアレルギー反応を示す犬もいるので、初めて食べさせる場合は、少量から様子を見て与えましょう。
メロンを食べさせる時は、皮や種を取り除き、果肉部分のみを与えましょう。のどに詰まらせないように食べやすいサイズにカットします。与える1日の量は、20g程度に抑えましょう。メロンは糖分が多くカロリーも高いので、食べ過ぎると肥満の原因になります。
桃
桃は、バラ科の果物にアレルギーがない犬なら食べてもいいものです。桃は、腸内の善玉菌を増やして悪玉菌を排除する働きがある食物繊維のペクチンを多く含んでいるので、便秘解消に期待が出来ます。桃の種や皮、葉にはアミグダリンという有害なシアン化合物が含まれているので、桃を食べさせる時には、必ず種や皮、葉を取り除いて与えましょう。
中には、桃に対してアレルギー反応を示す犬もいます。初めて食べさせる場合は、少しずつ与えて様子を見ましょう。水分と食物繊維が豊富なので、与え過ぎると消化不良や下痢・軟便を引き起こします。犬に桃を与えても良い量は、1日当たり20ℊ程度を限度にしましょう。
オクラ
夏野菜のオクラは、ねばねばした成分が人間の体に良いと言われますが、犬にとっても体にいいものです。ねばねばの正体であるペクチンは、整腸作用や下痢、便秘を改善する働きがあり、血糖値を下げる効果も期待出来ます。また、抗酸化作用のあるβカロテンや利尿作用のあるカリウムも含まれています。
オクラがアレルゲンとなってアレルギー症状が出る場合もあるので、初めて食べさせる場合は、少しずつ与えて様子を見ましょう。与える時には生でも軽く茹でても良いですが、犬は丸呑みするので細かく刻んで食べやすくしてあげると良いでしょう。与える量は、1日10~15g程度が目安です。
スイカ
スイカは、犬に与えてもいいものです。スイカは他の果物に比べて糖分が少なくカロリーが低いので与えやすい食べ物です。スイカは水分が多いので、夏バテ防止におやつ感覚で与えるのがおすすめです。固い皮や種は消化に悪いので取り除いて与えましょう。
水分が多く、冷やし過ぎのスイカはお腹を壊してしまうので注意しましょう。スイカを与えてもいい量は、1日当たり10~15g程度が目安です。スイカはウリ科なので、ウリ科にアレルギーを持っている犬は注意が必要です。
りんご
りんごは犬に与えてもいい食べ物です。リンゴの皮は、老化やがん予防などに期待が出来るポリフェノールやペクチンなどが含まれています。リンゴは、腸内環境を整えてくれる作用があり、食物繊維も豊富で便秘解消にも期待が出来ます。皮には農薬が付着している可能性があるのでよく洗い流し、消化しやすいように小さく切って与えるのをおすすめします。
りんごの種には、アミグダリンという毒性が含まれ、犬によって嘔吐やけいれんなどの中毒症状を起こす可能性があるので、必ず取り除きましょう。リンゴを与える量は、1日10~20g程度が目安です。
犬に与えられる食べ物②肉・魚
犬は人と暮らすようになって雑食動物になりましたが、元々は肉食動物でした。肉や魚のたんぱく質は、筋肉、内臓、皮膚や被毛など犬の身体を作るのに必要な栄養素です。鉄分を含む肉を食べることによって、鉄分欠乏症による貧血の改善にも期待出来ます。ここからは、犬に与えられる食べ物【肉・魚】編をご紹介しましょう。
牛肉
牛肉は、アレルギーを持っていない限り、犬に与えてもいいものです。牛肉には、タンパク質を始め、ミネラル、ビタミンBを含み、犬の身体と健康維持をするために必要な栄養素を含んでいます。ペットとして飼われている犬は、生肉に含まれるサルモネラ菌や腸管出血性大腸菌などの細菌への免疫力が低下しています。牛肉を犬に与える時には、食中毒予防のため、生で与えるのは避けましょう。
牛肉の脂身は、消化不良や膵臓の炎症を起こす可能性があるので、少量になるように抑えましょう。肉類はカルシウム量が少ないので、手作り食では魚類や野菜を交互に取り入れて、カルシュウムや他の栄養分を補うのをおすすめします。牛肉の与える量は、1日当たり体重の1~2%程度が目安です。
豚肉
豚肉は、筋肉、内臓、皮膚や被毛など体を作るのに必要なタンパク質が多く含まれる食べ物です。他の肉に比べてビタミンB群が多く、皮膚や粘膜の健康維持や脂肪・糖の代謝に期待が出来ます。豚肉は、犬に与えても大丈夫な食べ物ですが、牛肉と同じように生で与えるのは避けましょう。
豚肉を生で食べると、E型肝炎ウイルス、トキソプラズマといった寄生虫やサルモネラ属菌による感染で下痢や嘔吐の症状を起こす可能性があります。体重10kgで運動量が中程度の健康な成犬の場合、ロースなら35g、もも肉なら40g、ヒレなら45gを目安に与えると良いでしょう。
鶏肉
鶏肉は、アレルギーがない犬に限っては与えてもいい食べ物です。犬の身体や血液を作るために必要なたんぱく質を含み、豚肉や牛肉よりも低カロリーの食材です。鶏肉はコラーゲンとアミノ酸を同時に取ることが出来て、皮膚の健康や被毛のツヤを保つことに期待が出来ます。鶏肉の生肉は、カンピロバクター菌に汚染されている可能性が高いので、火を通してから与えるのをおすすめします。
もも肉、胸肉、ささみなど、含まれる栄養も部位により特徴があり、それぞれ摂取したい栄養素や食べやすい大きさにして与える良いでしょう。ささみは、骨もなくおやつやトッピングとしても与えやすいのでおすすめです。
加工肉
ハムやソーセージなどの加工肉は、犬の身体を作るのに必要なタンパク質で構成されているので犬に与えてもいい食べ物です。しかし、人間用の加工肉は、与えない方が良いでしょう。人間用の加工肉には、食塩や香辛料などの調味料を多く含み、犬の健康に良い影響を与えません。味が付いていない犬用の加工肉を与えるのをおすすめします。
おやつ用に作られた市販の加工肉がありますが、加工肉はカロリーが高いので、与え過ぎると肥満になります。肥満になると様々な疾患のリスクが発生するので、適量を与えることが大切です。おやつの量は、1日に取るべきカロリーの10パーセントを目安にしてあげると良いでしょう。
ラム肉
ラム肉は、アレルギーがない犬に与えてもいい食べ物です。ラム肉は12カ月未満の子羊の肉で、スーパーなどではあまり手に入ることがありませんが、ネット販売で犬用のラム肉を手に入れることが出来ます。ラム肉のたんぱく質の量は豚肉や牛肉と同程度ですが、ビタミンB12、鉄分などがより多く含まれます。鉄分は、成長期や妊娠中の犬、高齢犬の貧血に効果が期待出来ます。
羊は牛と同じ草食動物なので、寄生虫は少ないと言われますが、免疫力が低い子犬や高齢犬には火を通して与えることをおすすめします。初めての場合は、アレルギーを考慮して、少しずつ食べさせましょう。与える量は犬の体重に合わせてドッグフードのトッピング程度に使用するか、ラム肉のペットフードを与えるのも良いでしょう。
鹿肉
鹿肉も、アレルギーがない限り犬に与えてもいい食べ物です。鹿肉は、低カロリーで高タンパク、ビタミンB群、アセチルカルニチンなどの栄養素が豊富に含まれています。鉄分を多く含むので、貧血予防にも期待が出来ます。鹿肉を生で与えると、O157(腸管出血性大腸菌)やサルモネラ属菌などの食中毒、型肝炎に感染する可能性があるので、火を通してから与えましょう。
鹿肉は嗜好性が高いので、犬が食欲不振の時にドッグフードと鹿肉を混ぜてあげると、食い付きがよくなる場合があります。手作り食を食べさる場合は、肉だけではバランスが良くないので、他の食材も一緒に使って栄養バランスを取るのをおすすめします。
カツオ
カツオは、犬に与えてもいい食べ物です。貧血に効果が期待出来るビタミンB12や血中の中性脂肪を正常に保つEPA、脳や神経の発達に不可欠なDHAが豊富に含まれています。カツオの成分は犬の身体に害は与えませんが、生で与えないように注意しましょう。生で与えるとヒスタミン中毒症による下痢や嘔吐などの症状を引き起こす可能性があります。
また、内臓に寄生するアニサキス寄生虫により食中毒を起こす可能性もあります。カツオは、シンプルに茹でてドッグフードのトッピングとして、2~3切れ程度を目安に与えると良いでしょう。カツオ節は、食欲がない時にドッグフードにかけると食い付きが良くなる場合があります。
サバ
サバには有害な成分は含まれていないため、適量であれば犬に与えてもいい食べ物です。豊富なカルシウムやタンパク質、皮膚や被毛の健康を保つオメガ3脂肪酸などの犬にとって大切な栄養素が含まれています。カツオと同じように生で与えると、ヒスタミン中毒により嘔吐や下痢の症状を起こす可能性があるので、火を通してから与えましょう。
また、青魚は与え過ぎると体内の脂肪が酸化し、ビタミンEが不足するために腹部に痛みを伴う脂肪のしこりが出来る場合があります。これを黄色脂肪症と言います。犬にサバを与える場合は、骨を取り除くか、骨が柔らかくなるまで煮込んだものを少量だけ与えるようにしましょう。
サンマ
サンマも犬にとって有害な成分がない食べ物です。サンマには、タンパク質や脂質、ビタミン・ミネラル類、EPA、DHAが豊富に含まれています。EPAはアトピー性皮膚炎への抗炎症作用が、DHAは動物のガンや腫瘍の予防などが期待出来ます。
サンマを生で食べさせると、内臓に寄生するアニサキスによる食中毒にかかる可能性があります。また、カツオやサバと同じようにヒスタミン中毒にも注意する必要があります。必ず火を通してから骨を除いて食べやすい形で与えましょう。カロリーが意外に高いので、与える量は、たまに食べさせる程度にして、ドッグフードを少し減らして、さんまをトッピングで与えると良いでしょう。
犬に与えられる食べ物③穀物
本来肉食であった犬にとって穀物類は主食にはなりませんが、犬が活動するためのエネルギー源となります。また、大豆や納豆などは、ヘモグロビン(血色素)の構成要素となる良質な植物性たんぱく質を含むので、貧血予防の効果も期待出来ます。ここでは、犬に与えられる食べ物【穀物】編をご紹介しましょう。
米
米は、基本的に犬に与えてもいい食べ物です。ドッグフードやおやつにもコメが含まれているものが多くあります。白米の70%以上が糖質で、犬の活動に必要なエネルギー源になります。玄米はミネラル・ビタミン類も豊富なので、より健康的な食生活に効果的です。与える時の注意点として、生米は消化不良を起こすので、炊いたお米を与えましょう。
白米はアレルギー発症率が低いですが、可能性がゼロではないので、初めての場合は少しずつ与えることをおすすめします。お米を大量に食べると肥満の原因になります。犬にとってお米は主食にはならないので、手作り食の場合は肉や魚、ビタミンやミネラルの多い食材を加えて栄養バランスを整えましょう。
パン
パンは、基本的に犬に与えても大丈夫な食べ物です。食パンやシンプルなロールパンなどは特に問題はありませんが、菓子パンや総菜パンなど様々な材料が入っている場合は注意しましょう。レーズンやネギ類が入っている場合は、中毒症状を起こす可能性があります。
稀に、小麦アレルギーを持つ犬もいるので、与えた後にいつもと様子が異なるようであれば、与えるのをやめて動物病院へ行きましょう。アレルギーがある場合は、ドッグフードや犬のおやつにも小麦粉を使っていない商品を活用しましょう。また、パンはカロリーが高く与え過ぎると肥満の原因になるので、おやつ程度に少しだけ与えるのをおすすめします。
大豆
大豆は、犬に与えても大丈夫な食べ物です。豊富なたんぱく質を含み、肉よりもカロリーが低いので肥満気味の犬にはおすすめです。生の大豆には、人にも犬にも有害な成分トリプシンインヒビターが含まれているので、加熱処理してから与えましょう。消化不良にならないために、細かく潰してから与えるのをおすすめします。
稀に、大豆アレルギーを起こす犬もいるので、初めは少しずつ与えて様子を見ましょう。大豆を与えてもいい量は、5㎏の犬で1日当たり30gを目安にすると良いでしょう。大豆の加工品である豆腐や豆乳、きなこ、納豆などを与えるのもおすすめです。
枝豆
枝豆は、犬に有害な成分が含まれていないので与えてもいい食べ物です。枝豆は、植物性のたんぱく質はもちろん、ビタミンB1、ビタミンC、ビタミンK、葉酸などのビタミン群、カリウム、鉄、銅、マグネシウムなどのミネラルも豊富です。
犬に与える時には、枝豆の皮とサヤは、消化不良や下痢などの原因になるので取り除き、塩などで味を付けていないものを与えましょう。注意点としては、枝豆は完熟していない大豆なので、大豆アレルギーが出る可能性があります。初めての場合は、少しずつ様子を見ながら与えることをおすすめします。
納豆
人間の健康食としてよく食べられる納豆ですが、犬に与えても問題がない食べ物です。納豆には血栓を溶かし血液や血管の健康をサポートするナットウキナーゼが含まれています。また、ビタミンやミネラルの他、鉄分も意外に多く含まれ、貧血予防にもなります。更に食物繊維も豊富なので、便秘解消にも期待が出来ます。
納豆を与える量は、小型犬は1/4パック、中大型犬の場合1/2パックを目安に、ドッグフードのトッピングとして時々与えると良いでしょう。消化しやすいように小粒やひきわり納豆を与えるのをおすすめします。稀に大豆アレルギーが出る可能性があるので、最初は少しずつ与えて様子を見ましょう。
豆腐
豆腐も犬に与えてもいいものです。豆腐は植物性のたんぱく質で出来ているので、低カロリーで比較的消化しやすい食べ物です。犬のたんぱく源として肉や魚を使い手作りご飯を作ることがありますが、大豆の場合は、100g当たりのたんぱく質が肉や魚よりも少ないので、毎日のメインの食事としてはおすすめ出来ません。
豆腐を与える量は、体重5kgの犬で小さじ2杯を目安に、ドッグフードにトッピングするといいでしょう。原材料が大豆なので、大豆アレルギーを起こす可能性もあります。初めて場合は少しずつ与えて様子を見ましょう。
麺類
麺類には、そうめん、うどん、そば、パスタなどがありますが、どれも犬に与えてもいい食べ物です。気を付けないといけないのが、アレルギーです。うどんやパスタなどは原材料が小麦粉で、稀に小麦粉アレルギーをもつ犬もいるので注意しましょう。また、そばは、人間にもアレルギー反応を起こすケースが多い食べ物です。犬にもそばアレルギーが起こる可能性があるのでこちらも注意が必要です。
また、麺類のメニューには犬が中毒症状を起こすネギを使っていることが多いので。一緒に与えないように注意しましょう。麺類を与える量は、たくさん与えずにおやつとして少量与えることをおすすめします。
犬に与えられる食べ物④その他
野菜・果物類、肉・魚類、穀物類の中で、犬に与えてもいい食べ物を見てきましたが、犬に与えてもいい食べ物は、他にもたくさんあります。ここでは、カルシウムが豊富で腸内環境を整える乳製品や食物繊維やミネラルが豊富で便秘の解消に期待が出来る海藻類について見ていきましょう。
ヨーグルト・チーズ
ヨーグルトは、犬に有害なものが含まれないので与えても問題のない食べ物です。牛乳で下痢をしてしまう犬でも、ヨーグルトに含まれる乳酸菌、ビフィズス菌が腸内環境を整えてくれます。ヨーグルトを与える量は、小型犬なら、1日当たりスプーン半分~1杯を目安に与えてるといいでしょう。
チーズは、犬が大好きな食べ物です。チーズにはカルシウム・ミネラル・ビタミンだけでなく、乳酸菌が含まれています。犬には塩分が低いカッテージチーズやモッツァレラチーズなどをおやつとして与えるか、犬用に加工したチーズのおやつを与えるのをおすすめします。与える目安は1日の摂取カロリーの10パーセントを目安にすると良いでしょう。
牛乳
牛乳は、良質なたんぱく質やカルシウムを含み、犬に与えてもいいものですが、人間用に加工されているので、犬に与える時に注意する必要があります。牛乳に含まれる乳糖は犬の体内で分解しにくいため大量に与えると下痢を起こすことがあります。
また、カロリーも高いので与え過ぎると肥満の原因にもなります。牛乳アレルギーを持っている犬もいるので、初めは少しずつ与えて様子を見ましょう。少量の牛乳をドッグフードに混ぜて与えると、犬の食欲増進と水分補給をすることが出来ます。
寒天
お菓子作りによく使われる寒天は、犬には与えてもいい食べ物です。食物繊維が豊富なので、腸内環境を整え便秘解消にも期待が出来ます。体の新陳代謝を調節する甲状腺ホルモンの働きを促進するヨウ素、細胞を正常に保ち血圧を調整するカリウムが含まれています。
寒天は、胃の中で水分を吸着して膨らみ、満腹感を得やすいのでダイエット効果にも期待が出来ます。寒天を与える量は、ドッグフードに少し混ぜたり、食事制限で減らしたドッグフードの分を寒天で補い満腹感が出るように与えるのがおすすめです。
わかめ
わかめは、カルシウム、食物繊維、ビタミン類を含む良質な食材で、犬に与えても問題ありません。注意しなければいけない点は、乾燥わかめを与えないことです。体内の水分を吸収し、消化器官内で膨れてしまいます。ワカメは、ドッグフードに比べると消化が悪いので、よく煮るか刻んでからトッピング程度の量を目安に与えると良いでしょう。
犬に絶対与えてはいけない食べ物
今までは、犬に与えてもいい食べ物を見てきましたが、ここからは、犬に絶対与えてはいけない食べ物をご紹介します。人間が日常的に食べる物でも、犬にとっては有害に働き、命にかかわることもあります。どんな食べ物を食べてはいけないのか、愛犬のために知っておきましょう。
玉ねぎは溶血性貧血の恐れがある
玉ねぎや長ネギ、ニラ、ニンニクなどのネギ類は絶対に与えないようにしましょう。ネギ類に含まれるアリルプロピルジスルファイドという成分は、体内のヘモグロビンを酸化させ、溶血性貧血を引き起こす可能性があります。口の粘膜や舌が異常に白っぽい場合は、溶血性貧血が疑われます。溶血性貧血は重症化するとけいれん発作や呼吸困難を起こし、命にかかわることもあるので注意しましょう。
アボカドは嘔吐・下痢の恐れがある
ペルシンというアボカドに含まれる成分は、中毒症状を引き起こすと言われています。下痢や嘔吐などの症状から、重症化すると呼吸困難、けいれんを起こすことがあり、命の危険もあります。食べてから2、3日後に症状が表れることもあるので原因に気が付かないことがあるので注意しましょう。
銀杏は中毒成分メチルビリドキシンが含まれる
銀杏には、メチルビリドキシンが含まれ中毒症状を引き起こすことがあります。メチルビリドキシンは、体内の酵素の生成を抑制するので、神経伝達物質の興奮と抑制のバランスが崩れ、けいれんやてんかんなどの症状を発症します。銀杏が落ちる季節にイチョウの近くを犬と散歩する時には、犬が誤って口にしないように注意しましょう。
ぶどうは肝機能障害を起こす恐れがある
ぶどうに含まれる中毒症状を引き起こす成分は、まだ特定されていませんが、ぶどうを与えると、肝機能障害や腎不全を起こす恐れがあります。ブドウを食べてから数時間以内に嘔吐、下痢、食欲低下、震えなどの症状が現れます。おやつや菓子パンなどに干しブドウが入っていることがあるので、十分に注意しましょう。
プルーンは呼吸困難などの恐れがある
鉄分が多く貧血への効果が期待出来るプルーンですが、犬がプルーンを食べると中毒症状を引き起こすので、与えないようにしましょう。プルーンに含まれるソルビトールという成分は、少量の場合、便秘解消に繋がりますが、プルーンにはソルビトールが大量に含まれ下痢になります。
また、プルーンには、アミグダリンという青酸配糖体が豊富に含まれているので、摂取すると嘔吐や下痢、呼吸困難やショック状態などの中毒症状を起こしてしまう恐れがあります。特に、生のプルーンよりも乾燥プルーンの方が毒性が高いので注意しましょう。
マカダミアナッツは中毒症状の恐れがある
ナッツ類は、犬にとって有害な成分を含む食べ物です。特にマカダミアナッツを食べると、嘔吐や下痢、発熱を伴う中毒症状を引き起こすことがあります。ナッツによる中毒症状は、摂取後12時間以内に起こることが多く、重度の場合は腎不全を引き起こし命にかかわることがあるので注意しましょう。
犬の味覚や嗅覚について紹介
犬がくんくんと匂いをかぐ仕草を良く見かけるように、犬の嗅覚はとても優れています。また、ドッグフードをあっという間に平らげてしまう様子を見ると、犬は味が良く分かっているのかと疑問に思うことがあります。ここでは、人間とは異なる犬の味覚や嗅覚について紹介しましょう。
犬は匂いが一番重要
犬の嗅覚細胞は人間の10倍以上あると言われています。そのため、犬は食べ物の判断においては、味よりも匂いを重視します。次いで食感、味で食べ物がおいしかを判断します。食欲不振の犬には、風味が強いドッグフードを与えると食いつきが良くなることがあります。
犬は旨味を感じない生き物
嗅覚に優れている犬ですが、実は、旨味を感じない生き物でもあります。犬は甘み・苦味・酸味・塩味の4つを感じることことが出来ますが、人間のように旨味を感じることが出来ません。舌の上にある味蕾細胞によって様々な味を感じていますが、犬の味蕾細胞は人間の5分の1程度しかないと言われます。
特に甘味と塩味が好き
犬は、野生の時の本能が残り、甘みと塩味が強い食べ物が好きで、人間用の食べ物を好んで食べます。しかし、人間用の味付けは、犬にとって濃過ぎて有害です。甘味と塩味を取り過ぎると糖尿病や内臓の機能に影響するので注意しましょう。
愛犬に与えていいものを知ろう!
今回は、犬に与えてもいい食べ物や絶対に与えてはいけない食べ物についてご紹介して参りました。人間にとっては問題ない食べ物でも、犬にとっては中毒症状を引き起こす物質を含むこともあり、中には命にかかわることにもなりかねません。犬に与えもいいものとそうでないものを知り、犬の健康維持に役立てましょう。